原状回復で“借主負担”になる範囲・ならない範囲を超シンプルに整理

賃貸契約の注意点

結論:借主が払うのは「壊した・汚した・放置した」分。普通に住んだ劣化は原則払わない

原状回復で揉めるポイントは実は1つだけです。

  • 借主負担になりやすい:故意・過失/不注意/手入れ不足(放置)で生じた傷み
  • 貸主負担になりやすい:普通に住んでいれば起きる劣化(経年劣化・通常損耗)

この線引きで、請求の大半は整理できます。


1. まず覚える「超シンプル判定」

迷ったらこの3つで判定します。

借主負担になりやすい(3キーワード)

  1. 壊した(ぶつけた、穴を開けた、破損)
  2. 汚した(落ちない汚れ、ヤニ、油、ペット臭)
  3. 放置した(結露カビを放置、掃除しないで悪化)

貸主負担になりやすい(3キーワード)

  1. 古くなった(日焼け、色あせ、自然な摩耗)
  2. 普通に使った跡(家具の軽い跡、軽微な擦れ)
  3. 設備の寿命(自然故障、経年で動かない等)

2. 具体例で一発理解:借主負担/貸主負担の一覧

「どっち?」で迷う代表例を、場所別にまとめます。


壁・天井(クロス/塗装)

借主負担になりやすい

  • タバコのヤニ・臭いが強い(消臭+張替え)
  • 子どもの落書き、シール跡が残る
  • 釘・ネジ・画びょうで大きな穴(通常を超える)
  • 結露カビを長期間放置して広がった

貸主負担になりやすい

  • 日焼けによる色あせ
  • ポスター跡の軽い変色
  • 家具の軽い擦れ・軽微な汚れ
  • 画びょう程度の小穴(扱いは物件次第だが“通常の範囲”とされやすい)

床(フローリング/クッションフロア/畳)

借主負担になりやすい

  • 物を落としてできた深い傷・へこみ
  • 水をこぼして放置→床が浮く・腐る
  • ペットのひっかき傷・粗相によるシミ/臭い
  • キャスター椅子で削れた(保護マット無しで長期間)

貸主負担になりやすい

  • 歩行による自然な摩耗
  • 家具を置いてできる軽い跡
  • 畳の自然な日焼け・擦れ

キッチン(換気扇・コンロ・シンク)

借主負担になりやすい

  • 油汚れを放置して固着(通常清掃で落ちない)
  • 焦げ付き・サビを放置して悪化
  • 排水の詰まりを放置→水漏れ被害

貸主負担になりやすい

  • 通常使用の範囲の汚れ(清掃で落ちる)
  • 設備(コンロ・換気扇など)の自然故障・経年の不具合

浴室・洗面(カビ・水垢)

借主負担になりやすい

  • 換気不足+掃除不足でカビが広がった
  • 排水の詰まり放置で床や下階に被害
  • 鏡のウロコを放置して固着(程度による)

貸主負担になりやすい

  • 通常の生活で付く水垢(軽度)
  • 経年でのコーキング劣化(程度により)

トイレ

借主負担になりやすい

  • 尿石が固着するほど放置
  • 喫煙による臭いが染み付いている

貸主負担になりやすい

  • 通常の使用による軽い汚れ

建具・設備(ドア・襖・エアコン等)

借主負担になりやすい

  • ぶつけて割った、穴を開けた
  • 乱暴な使用で蝶番が破損
  • 喫煙臭やペット臭の消臭が必要になった

貸主負担になりやすい

  • エアコンなど設備の自然故障(寿命)
  • 建付けの経年のズレ(調整で直る範囲)

3. ここで勘違いが多い:ハウスクリーニング代は“特約次第”

「通常損耗は貸主負担」と言っても、契約書に“クリーニング代は借主負担”の特約がある物件は多いです。

ただし、特約がある場合でも

  • 金額や範囲が明確か
  • 説明されていたか
  • 退去時に上乗せ(二重請求)になっていないか
    が重要です。

「クリーニング一式」+「各所清掃」など重複がある場合は、交渉余地が大きいです。


4. “全面張替え”が出たら要注意(部分補修で足りることが多い)

高額請求の典型はこれです。

  • 一部の汚れ → 部屋全体のクロス張替え
  • 1枚の床傷 → 全面張替え
  • 清掃 → 一式+追加で細目がズラズラ

この場合は、まずこう聞けばOKです。

確認テンプレ(コピペOK)

この修繕は「どの箇所の」「どの範囲(㎡/m)」ですか?
部分補修では足りない理由(色ムラ・施工上の都合など)を教えてください。
該当箇所の写真と、施工範囲が分かる資料をお願いします。


5. 納得できない請求が来た時の“最短交渉ステップ”

  1. 見積の内訳を出させる(単価×数量、範囲、写真)
  2. 通常損耗と借主負担の根拠を確認
  3. 重複を削る(クリーニング一式+各所清掃 など)
  4. 部分補修に切り替え(全面→一部)
  5. 落とし所を提示(納得額なら即日精算)

感情より「範囲・単価・理由」で詰めるのが勝ちパターンです。


6. 管理会社に送るメール例文(コピペOK)

件名:原状回復費用の内訳確認と再見積もりのお願い(◯◯号室/氏名)

お世話になっております。◯◯号室の【氏名】です。
原状回復費用の見積もりを拝見しましたが、内容確認のため下記をご共有ください。

1)各項目の作業箇所・数量(㎡/m/枚数)・単価・作業内容
2)「一式」表記の項目の内訳(材料費・工賃・処分費など)
3)借主負担と判断した根拠(該当箇所の写真・判断理由)
4)全面施工となっている場合、部分補修では足りない理由

内容が確認でき次第、合理的な範囲で精算したいと考えています。
お手数ですが【◯月◯日】までにご回答をお願いいたします。

【氏名】/【部屋番号】/【電話】


まとめ:迷ったら「壊した・汚した・放置した」かどうかで判断

  • 借主負担:故意・過失/不注意/手入れ不足で悪化させた
  • 貸主負担:普通に住んで起きる経年劣化・通常損耗
  • “全面張替え”“一式だらけ”は要注意。範囲・単価・理由で確認
  • クリーニング代は特約の有無と重複チェックが鍵
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